「月の女は帰れるか?」



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堕落論で有名な、無頼派の安吾。
短編に流れる暗澹たる、しかし甘美な雰囲気は
素敵なものです。その中でちょっと考察までは
至らない、けど言わずにいられない。
日記から抜粋してみました。


「紫大納言」
12/7の日記から

夜は少しずつ読書をしている。
今読んでいるのは、坂口安吾。
私の専門は泉鏡花だけど、短大の教授の専門が
無頼派だったから、ちょっとは読んだ。
今改めて読んでみると、なんだか考える事が多い。

昨日の夜は「紫大納言」を読んだ。
安吾は、どうしようもない、堕落してしまう人間を
描く時は両極端な容貌にするのだろうか。
まだ数作品しか読んでいないけど、痩せぎすだったり肥満だったり。
肥満でも血色の良いタイプじゃなくて、青黒いぶよぶよした人。

紫大納言は、月の女に恋をした。
その恋を知ってしまって、恐れを知った。
しかしその恐れは一般の人間が抱く恐れではなく、
女を愛する事、失う事の恐れであった。

女から取り上げた笛。
笛を餌にして女を拘束したが、笛が恐ろしい。
無くなってしまえば、女は月に帰らないか。
無くなってしまえば、女は悲しんでなくだろう。
どちらも恐ろしくて責任から逃れたくて、
笛を盗賊に差し出してしまう。

女をとうとう自分の物にした。

けれども笛の事で罵られ、取り返そうとしても
盗賊から殴られ、遂には死んでしまう。

残された女はどうする?
地上の男と通じてしまった月の女はどうなる?
月に帰れるのか?帰れまい。

かぐや姫は何故あまたの男の求婚を断りつづけたか。
「月に帰ってしまっては辛いから」か?
もしかしたら「地上の男と通じてしまっては月に帰れないから」
ではないか。月という冷たい星では地球という暖かい星の
恋という暖かい行為は相容れなくて、禁を犯したものは
もう戻れない。そう考えるとなんだか納得。

冷たい女を抱いた紫大納言。
彼は死んでしまった。女はどうなるんだろう。

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